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2012年11月アーカイブ

中国茶葉からの農薬検出について

http://www.nhk.or.jp/lnews/kochi/8013833511.html

高知市に本社のあるお茶の製造会社が中国から輸入した黒ウーロン茶の茶葉から食品衛生法の基準を上回る農薬が検出されたとして、この茶葉を使った300万個の商品を自主回収しています。(中略)自主的に検査を行ったところ、中国から輸入した黒ウーロン茶の茶葉から食品衛生法の基準を上回る農薬が検出されました。検出された農薬は、▼フィプロニルが国の基準を0.061ppm上回る0.063ppm、▼インドキサカルブが0.04ppm上回る0.05ppmでしたが、いずれも日常的に飲んでいたとしても健康への影響はないということです。


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いつまでこんな無駄な法律に振り回されなければならないのでしょうか?


フィプロニルは日本の商品名プリンス、インドキサカルブは同トルネード ですが、両方とも日本ではお茶の栽培に登録がないので、残留農薬基準値がない=ポジティブリスト制で基準値0.01ppmが適用されます。(フィプロニルはADIが低いので特別に0.002ppm適用) 穀類や野菜や果樹などで日本でも一般的な農薬で、世界的にもありふれた農薬です。それがこんなごく微量検出されて、900tもの茶葉が回収廃棄されるとは、そのロスやマイナスの経済効果は大きなものです。「いずれも日常的に飲んでいたとしても健康への影響はない」のに、なぜだめなのでしょうか?


このニュースに対して2chやtwtterなど中国やこの会社へのバッシング一色ですが、実は日本の法律が矛盾だらけで間違っているのではないか?と、そちらの方に疑いの目を向けてもらいたい。

農薬の価格について 5 

| コメント(1)
 農薬取締法は根本的には不正な農薬の流通を取り締まる目的で出来ました。
そこに安全性や残留農薬基準など食品衛生の問題を上乗せしたので、
そもそも無茶な法体系になっています。

 無茶なものを押し通すので、農薬登録に非常な費用と時間がかかってしまい、
農薬価格を吊り上げる元凶となっています。

 具体的には以下の弊害があります。

・適用害虫の追加など、ささいな農薬登録変更にも数百万円以上の費用がかかる。
・製剤改良など、「改良」することが実質禁じられている。(改良すると登録取り直し)
・複雑で難解な農薬登録になってしまい、その説明義務を果たすため費用と手間がかかる。
・ジェネリック(特許切れ)農薬の参入ができない。

 農薬メーカーは登録農薬の改良やコストダウンができないのです。
処方(中身の成分)が変わると安全性が変わる可能性があるからです。
確かにその通りですが、せっかくいいアイデアを思い付いても実行できないので、
コストダウンもできません。


 とにかく、法体系を変えないと、なにもできないというのが私の心情。
政治がしっかりしないとダメですよね。
(たてきは近所ですが引っ越ししました。よって更新が滞りすいませんでした)

 農薬の価格は使用される作物の付加価値によって左右されることを述べました。
他の分野の製品と異なるのはその点であることご理解いただいたと思います。

 農家や農薬流通業者は農薬を安く買いたいでしょう。農薬メーカーは高く売りたいでしょう。
では、どうすればいいのでしょうか?

 一番付加価値の高い分野に値段を合わせてれ以外の分野で安くするか、
一番安い分野に合わせてそれ以外を高くするか、極論すればどちらかです。
でも、後者があり得ないことは説明不要ですよね。

 前者も難しい。高いユーザーに合わせるのは高利益ですが、低販売量に陥るリスクがあります。
ある程度まとまった量を作らないと、そもそも工場が動かせないですし、
量をたくさん作った方が、製造の効率化・コストダウンなどのメリットもあるのです。
付加価値の低い分野は穀物や飼料作物が多く、面積もユーザー数もいことがあり、
農薬メーカーからすれば魅力的な市場です。

 そこで、○○地域向け・××農家向け といった大型容量規格や別ブランドを立ち上げたり
してなんとか価格をさわることになります。これぐらいが今の法律の範囲内では
精一杯でしょう。

 では、法律も変えるなど根本的に見直せばどうなるのでしょうか?

農薬の価格について 3

 一番困るのは同じ農薬で用途がざまざまにある場合です。
例えば、チョウ目害虫に効果がある殺虫剤だと、価格の高い作物、
たとえばぶどうやさくらんぼ等にも使われるし、安い作物、たとえば、
キャベツやダイコン、もっと安い作物、たとえば大豆とかじゃがいもにも
使われることになります。

 とある害虫を駆除すために必要な農薬の量は作物の種類では変わりません。
しかし、作物の付加価値は異なります。だからって、作物ごとに同じ農薬を
違う値段で売ることは出来ません。これが農薬の値段を複雑化させる要因です。

 外国でも同じことはあるんだけど、総じて日本より単位面積あたりの
作物の付加価値が低いし、作物や害虫の種類も単純です。
ですから日本ほど上記の問題は目立ちません。

 さらにいうと同じ作物でも付加価値の差が大きいのが日本の特徴です。
さつまいもでも鹿児島の焼酎用と徳島の鳴門金時ではkgあたりの単価が
何倍も異なります。では、どちらの付加価値に合わせて農薬の価格を
決めればいいのでしょうか。そのあたりが悩みどころとなります。

農薬の価格について 2

 たとえば水田の除草剤を考えてみると、10アール(1反=300坪)を1人で除草した場合、
田植えから収穫まで数回合計約50時間かかるとされています。
 農家の時給を地域の最低賃金=時給700円で計算すると700円×50時間で35,000円。
除草剤の値段が3,000円ぐらいなので、農家の除草剤使用による経済効果は、
35,000-3,000=32,000円 となります。

 これが発展途上国の貧しい農村部の水田とすると、時給は10円ぐらいなので、
10円×50時間で500円。3,000円の除草剤を使えば完全に赤字です。
こういう場所では除草剤は売れないし、仮に売ろうと思えば200円ぐらいじゃないとダメ。

 これが俗に言う「農薬の内外価格差」が発生する原因です。


 先の日本の計算例では除草剤を散布するために必要な時間が考慮されていません。
除草剤の散布時間は方法によりますが30~60分程度。ジャンボ剤などの散布省力化剤は
散布時間が30分短くて済んだとすれば350円ぐらい高くても良いことになる。
製造コストも高くついているだろうから、その程度の価格アップはやむを得ない。 

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