家庭用殺虫剤 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1,家庭用殺虫剤と農業用殺虫剤の特性の違い
2,家庭用殺虫スプレーの成分は?なぜ効くんですか?毒性は?
3,網戸に虫がついたからって・・・・ 最近、網戸に虫が付かないようにするスプレーが流行っております。CMの人気のせいもあるでしょう。ところで、このスプレーの有効成分は、合成ピレスロイド系殺虫剤と害虫忌避剤のディートです。ともに毒性は低く、特に健康被害を懸念する必要はないことは事実でしょう。しかし、風が網戸を通って室内に入ってきますので、当然それら成分、特に気化しやすいディートはかなりの量が部屋の空気に混ざるでしょう。 |
虫除けスプレー |
「虫避けスプレー」など虫よけ製品の主成分はDEETです。 日本中毒学会の機関誌によればDEETは、経口急性毒性は低く普通物。それは良いとして、意外と経皮毒性が高く、皮膚吸収も早いそうです。もちろん通常の使用では問題ありません。軽度の眼刺激性があり、眼に入らないよう注意が必要です。 事故事例(日本中毒学会編:中毒研究98年2号より)として、 とりあえず、毎日使うのはやめましょう。必要なときだけ使う。また、忌避作用は塗ったところ周辺に及びますので、全身にくまなく塗る必要はありません。適当な感覚で、パッパッパッとやった方が経済的にも良いでしょう。 ・・・余談・・・ 殺虫剤関連のホームページを見ていると「殺虫剤は好ましくないので忌避剤を使おう」というのをホントによく見かけます。あらゆる毒性面で、ピレスロイド系殺虫剤の方がDEETより安全性は高いので、誤った情報に惑わされないようにして下さい。 |
よく出てくる単位の意味 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分析データを見ていると、ときどき「ND」とか「検出限界以下」といった表現を見ることがあります。各種分析方法で検出されなかった場合、0とは考えず、分析できる最低濃度以下と考えます。農薬の場合、NDはその分析方法での分析可能最低濃度の20%はあると考えることになっています。 |
農薬の使用量実態 | |||||
1,農薬の需要や供給量を調べる方法
2,日本の農薬のマーケットサイズ 3,個別の農薬使用量 市場に並んでいる各作物の農薬使用量がどれぐらいかを知るのは難しいことです。作物種によっても、産地によっても、そして農家ごとに使用している農薬の種類と量は違います。作物別に産地ごとに「防除歴」というものを発行しており、それを見ればどれぐらい農薬を使っているかだいたい見当はつきます。4,稲作の生産費に占める農薬代の割合
|
残留農薬を家庭で落とす | ||||||||||||||||||||||||
1,調理で農薬は減る農薬といってもいろいろな種類がありますので、正確にはどの作物にどの農薬が残っているかによって話は変わってきます。話を簡単にするため代表してジャガイモとピーマンについてみてみましょう。データは主に「食品中の残留農薬平成10年版」(厚生省)「残留農薬の調理加工による減衰」(伊藤誉志男ら武庫川女子大グループ)からとりました。 じゃがいも、ピーマンにわざと0.1〜1ppm(残留基準値程度)の農薬を添加して、実験しています 2,実際の残留量 じゃがいもにはどれぐらい農薬が残留しているのでしょうか?平成9年度の調査結果では約8000点ぐらいの分析を行って何らかの農薬が検出されたのが12件となっています。99%以上のじゃがいもから農薬が検出されなかった(検出限界以下)ことになります。3,家庭で残留農薬を減らすことに意味はない データを見ると水洗いだけでも農薬が3割〜9割以上も減っています。ただし、実験時の洗浄方法を見てみると、ビンに作物と水を入れて1分間に100回振り混ぜることを水を換えながら5分間行っています。家庭でこんなに激しく長時間野菜を洗う人はいないでしょう。ですから、普通の洗浄による除去率はこのデータを大きく下回るものと思われます。調理は一般的な方法で実験しているので、このデータ程度は減っていることでしょう。皮をむくことがもっとも効果的であることがわかります。 しかし、これらのデータはわざと農薬をふりかけた作物を使っています。実際には9割以上の作物から農薬が検出されていませんし、検出されても添加量の10〜100分の1のレベルです。ですから、農薬を減らす意味で水洗いしてもほとんど意味がないと言えるのではないでしょうか? |
農薬税 |
ノルウェーでは1998年から「農薬税」というものを農民に課しています。フランスでも1999年に「農薬による自然汚染税」というのが国会で通ったそうで、2000年4月からスタートしたそうです。それによれば、農薬の有効成分の種類によって課税ゼロから,有効成分キロあたり2.5フランからはじまり11フランまでの6段階課税制度となっているそうです。 フランス農薬全体の40%が自然環境に与える悪影響が無いという理由から無課税になり、逆に言うと6割の農薬にはいくらかの税金がかけられたということです。この税金はその農薬を使う農家が払うそうで、おそらく製品価格に税金が織り込まれることになり、それを農家が買っていると想像します。 日本でたとえれば、古い有機リン剤は1本あたり税金100円、新しいIGR剤なら無税・・・といったイメージでしょう。 一方、イギリスでもフランスでの成果を見て「農薬税」の導入を本格的に検討しはじめたそうです。イギリス大蔵省と農薬業界との間で具体的な詰めの議論も行われているとのこと。おそらくフランスと同じような内容で成立するものと思われます。 この動きは英仏を発信地として、欧米はもちろん日本にも影響を及ぼすでしょう。しかし、日本では一足飛びに農薬税の導入とはいかないと思います。農薬登録は人体・環境などに悪影響を与えないという前提で下されており、そうでない場合は登録を認可しないか、使用に際する注意を記載することになっています。ですから農薬の種類による環境への影響度を評価することは考えられていないのです。仮に劇物は課税、普通物は無課税といった規定を作るとすれば、消費者や農家は税金かけるぐらいならいっそ農薬登録を取り消せば?と提言するでしょう。 また、たてわり行政の問題もあるでしょう。農薬を認可する農水省、環境影響を見る環境庁をさしおいて、大蔵省が農薬の種類別に税金をかけることはちょっと考えられないと思います。 |
製剤の種類 | ||||||||||||||||||
農薬は有効成分(原体と呼ぶ)を使いやすいように製剤した物が販売されています。通常、この製剤をそのまま、あるいは水で薄めて田畑にまきます。色々な種類がありますのでそれぞれ簡単に解説します。
|
天然発ガン性物質と農薬 | ||||||||||||||||||||||||||
発ガン性に関して言えば、残留農薬よりも食物にもともと含まれている有害天然化学物質の量の方がケタ違いに多く、その影響の方が大きいのです。具体的には例えば動物実験で発ガン性がわかっている天然化学物質とその含有量は、
他にもいっぱいあります。 なお、ここで上げた食品が発ガン性物質を含んでいるからダメだと言うことではありません。人間はそういった物に対処するだけの十分な解毒、免疫機能を備えていますから、上の食品が健康に悪影響をただちに与えるという物ではありません。また、これらは例外ではありません。天然化学物質の内の約50%は変異原性があり発ガン性物質の可能性もあるとの研究もあります。
|
フェロモンで害虫を防ぐ |
フェロモンといっても色々な種類がありますが、防除に用いられるのはセックスフェロモン(性フェロモン)です。メスがオスを誘引する作用があります。そこで、フェロモンでオスをトラップに集めて殺せば防除できるというアイデアにつながりますが、実際には効果があまりありません。あっちこっちから高濃度のフェロモンが流れてくると、どこからフェロモンが来ているのかわからなくなってしまい誘引されないのです。 そこで交信撹乱法というのを用います。これは高濃度のフェロモンを農場付近の空気に満たしてやることで、オスのフェロモン受容器が満杯になってしまい、本当のフェロモンが流れてきても反応できなくなってしまう。あるいは、どこからフェロモンが流れてきているかわからなくなってしまい、オスとメスが出会うことが出来ません。その結果、卵が生まれず、次世代の密度が低下するという方法です。 この方法の欠点は、まず風に弱い。広範囲を一気にやらないといけない。長い期間(3ヶ月〜3年ぐらい)にわたって、フェロモンの濃度を保たなければならないことなどです。 それらの条件を満たす農場(盆地型であったり、広範囲で共同防除できたり)では一定の効果を上げますが、小さな農場、ましてや家庭園芸や庭木などでは効果は全く期待できません。 |
ジェネリック農薬 |
農薬や医薬品の開発には金がかかるわけですが、それに見合うだけの利益が開発者(開発メーカー)にないと理不尽です。そのために特許制度があって、発明者以外が無断でその発明で儲けることを禁止しています。ただし、特許で独占的な利益を得ることが出来る期間は日本では20年。それ以降は特許権が失効して誰でもその発明を自由に使うことが出来るようになります。そういった特許切れの農薬を別の会社が生産して売り出している商品をジェネリック農薬と呼びます。有効成分は同じですが、日本では製法や製造所の変更による新たな不純物の混入の危険性があることから、ジェネリック農薬にも新たな安全性試験を義務づけています。科学的に考えれば内容物が不純物も含めて同じであれば毒性も同じはずですから、2001年頃をめどに、一部の試験を免除する方向で行政サイドで検討されています。 ジェネリック農薬は後発メーカーでも簡単に儲けることが出来そうですが、実際には新たな工場の建設やノウハウの蓄積が必要で相当な投資が必要です。先発メーカーはすでにそれらの減価償却を終わっているので、後発メーカーは自らの利益率を削らざるを得ず、かなり苦しい商売になっているようです。また先発メーカーはジェネリック農薬の値下げ攻勢に付き合って値下げしなければいけないのでつらいです。その値下げ分は、農家への普及活動(使い方の指導)の減少などへしわ寄せされるので、あまりいいこととは思えません。 そうはいうものの、コストの安い東南アジアなどの工場から輸入されたジェネリック農薬は、国内の正規品に比べて半値以下の場合もあり、農家から見れば魅力的な商品であることは確かです。日本の農薬流通の約半分を握る全農は農家への販売価格を下げるために、農薬を直接輸入販売をさらに進める方針で、マンゼブに続き、今度は2001年をめどに主要殺虫剤のオルトランのジェネリック品を開発販売する予定。今後、続々と主要農薬の特許が切れるので、ジェネリック農薬は増えていくでしょう。 なお、最近ホームセンターなどで、ラウンドアップなどの除草剤のジェネリック品が安い価格で売られていますが、中には農薬登録のないものも含まれています。線路や道路などの非農耕地ならかまいませんが、農耕地用に無登録品を使用するのは法律違反ですし、産地の信頼をなくすことにもなりかねないことだと思います。 |
ホームセンターで売っている除草剤の成分と、草が枯れる理由 | ||||||
ホームセンターで売っている除草剤の成分はだいたい下記の3つです。それぞれの特徴と値段などを考慮して選んでください。
普通、除草剤は水に薄めてまきますが、最近は最初から水に薄めてスプレーになって売られているものもあります。非常に割高ですが、まく時に楽なので庭など小面積を楽に除草したいときは便利でしょう。 |