∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞     ○◎● 月刊                    ●◎○    ○◎●   正しい農薬の知識を身につけるマガジン  ●◎○   ○◎●          第6号 2000/6/25発行  ●◎○   農薬に関する話題を中心に農業や環境問題を考えるメールマガジンです。  http://member.nifty.ne.jp/TATEKI/PESTIC/KANKYOU.htmlと連動しています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  主婦や学生でも安心して読めるように極力簡単に説明するようにしています。  メールマガジンに対するご意見ご要望はntateki@nifty.comお気軽にどうぞ。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ★特報!たてきも編集に参加した「気になる成分・表示100の知識」発売!★ ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆  「気になる成分・表示100の知識」左巻建男・稲山ますみ・西田立樹編著が 東京書籍から発売されました。全国の大きな本屋でぜひお買い求めください。  詳しくは http://member.nifty.ne.jp/TATEKI/100.html をご覧ください。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ★★ 第6号の内容 ★★  【農薬のネット販売】  農薬製剤、販売会社のHPが続々と誕生しています。中には農薬のネット販売 などを手がけようとする動きもあります。  【水道水中の農薬】  最近、掲示板で話題になりました。その話も交えて、紹介します。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ★★ 農薬のネット販売 ★★  農薬は商品ですから当然お店から買って使うことになります。そのお店はどこ にあるのでしょうか?農家の人以外は案外知らないと思いますので簡単に説明し ましょう。  農薬の流通には大きく分けて「系統ルート」と「商系ルート」があります。そ れぞれのシェアは半々ぐらいです。  「系統ルート」は農協(JA)を通じて買う方法です。農協は1県につき1〜 数十軒ぐらいあり、さらに上部の組織である全農や経済連から農薬を取り寄せま す。ですから、農薬の流れは【メーカー】→【全農、経済連】→【農協】→【農 家】となります。全農や経済連はメーカーにとって最も重要なお得意さまという ことになり、毎年、価格交渉を行って値段を決めます。最近は買う側の発言力が 強まり連年の値下げとなっています。  「商系ルート」は農薬を販売する店から買う方法で、店は農薬メーカーの特約 店であったり、ホームセンターであったり色々です。農薬の流れは【メーカー】 →【卸店】→【店】→【農家】となります。ごく一般的な流通経路ですから、値 段等は市場原理で決まります。  他の商品と同じく、農家側としては少しでも農薬を安く買いたいので、流通経 路を簡略化(中抜き)して、中間マージンを少なくできないかとの要望が上がっ ています。  ところで、世の中はインターネット(IT)ブーム。IT人口は現在2700 万人、5年後には7700万人と予測されています。ITの情報力を活かして、 農薬のネット販売を行えば、中間マージンや流通コストの低減が見込まれ、農薬 価格の低下、あるいは農薬ネット販売業者の利益が見込まれます。  そんなわけで農薬のネット販売を手がけようとする動きが、「栽培ネット」、 「しんしん」、「石原バイオサイエンス」などのHPに見えてきています。しか し、いくつかのハードルがあり一足飛びには行かないようです。その理由は、  1,お金の受け渡し方法が未確立   @これはIT共通の悩みです。まもなく解決するでしょう。  2,農薬の価格体系が不透明   @地区によって値段が違ったり、古い商習慣(定価で買わせて、あとから値    引きする)があったりして、全国一律価格が出しにくい。  3,劇毒物の取り扱い、農薬を野放しに流通させることへの抵抗感   @農薬には劇毒物取締に該当するものも多々あります。これらをネットで販    売するのは法的に無理です。毒性の低い普通物であっても、農家以外が購    入して事件や自殺などに使用された際には販売側にも責任が及ぶ可能性も    あります。    他にも、使用方法の指導ができない、メーカーが直販するとJAや代理店から の反発は必至、などなど、問題点は山積みで、木酢液などの「農薬じゃない農薬」 やラウンドアップなどの非農耕地用除草剤あたりから徐々にはじまることは予想 されますが、ネットで自由に農薬が注文できる日はもう少し先になるのではない でしょうか。  (話の中に出てきたサイトはHPのリンク集からどうぞ)   http://member.nifty.ne.jp/TATEKI/PESTIC/RINKU.html  ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆◆水道水中の農薬◆◆(資料:農薬の環境科学、農薬毒性の事典など)  飲料水、主には水道水に農薬はどれぐらいの量が入っていて、健康に影響を及 ぼしているのでしょうか? ◆入ってる量◆   神戸市(83年): ブタクロール(除草剤)  最高 23ppt             IBP(殺菌剤)     最高 11ppt             ダイアジノン(殺虫剤)  最高 5ppt   大牟田市(83年):クロメトキシニル(除草剤)最高206ppt   北海道(83年): CNP(除草剤)     最高 60ppt   東京都(83年): CNP(除草剤)     最高 93ppt  などが報告されています。これは農薬が検出された例の中から最高濃度のもの を引用しましたので、実際にはほとんどの農薬が検出されていません。 ◆水道水中の農薬の安全性評価◆  大人が一日に摂取する水道水を2リットルとして計算することになっています。 ですから、水道水からの農薬の摂取量は神戸のブタクロールで計算すると、    2リットル × 23ppt = 46 ナノグラム = 0.046 マイクログラム  毒性はマウスでの最大無作用量(毒性を示さない最大濃度)が 5000 マイクロ グラム /kg 体重 だから、生涯1日許容摂取量(ADI)に換算すると、最大無 作用量に大人の体重分の 50 を掛けて、安全係数の 100 で割るので、2500 マイ クログラム。水道水からの農薬摂取はADIの1%以下にすべしとなっているの で、25 マイクログラム以下にするのが目安となります。  この例では測定水中、最大にブタクロールに汚染された水道水でもADIの5 万分の1以下、飲料水からの摂取上限の目安に対しても500分の1以下となり ます。 ◆水道水中の農薬の基準値◆  93年以降、17の農薬がチェック対象になっています。先の例では  クロメトキシニル 最高 206ppt。基準値は 8000ppt で、大きく下回ってい ることになります。(なお、今はこの農薬は使われていません) ◆まとめ◆  水道水中から農薬が検出されることはあります。しかし、その濃度はごく微量 であり、健康に影響を及ぼす可能性は、ほとんどないと考えられます。 ◆今後の課題◆  以上、水道水中の農薬そのものはほとんど問題ないわけですが、識者から水中 の農薬が水道水を消毒する際の塩素によって分解し、一部は毒性のある化合物に 変化している、との指摘があります。この点は今後の検討課題として浮上してく るでしょう。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆◆おまけ◆◆ それでも水道水から農薬を除きたい人へ浄水器の話  浄水器には色々なタイプがあります。農薬を除くためには、活性炭で吸着浄化 するタイプを選びましょう。中空糸で水をろ過するタイプでは農薬はろ過されま せん。アルカリイオン型の製水器は農薬の分解には寄与しません。沸騰させても 一部を除いて農薬は分解しませんし、蒸発もしません。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ●●●●●●● お勧めメールマガジン ●●●●●●●  「安心 !? 食べ物情報」    http://homepage1.nifty.com/why/food2.html 非常に読みやすくて、食べ物に関する知識をどんどん吸収することができます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  農薬やダイオキシンに関する講演や執筆を中心にご活動されています。講演内 容などに興味がおありの方は問い合わせてみてください。最大2時間分の講演を 常時ご用意されています。 名前: S.T.オフィス 演題:「農薬の安全使用」、「農薬と環境問題」、「ダイオキシンについて」等 問い合わせアドレス: EZT01771@nifty.ne.jp ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ★★次号の予告★★ 次号は7/12ごろの発行予定。  【農薬の事故事例】  農薬は使い方を間違えると「毒」になります。  【最新水田用除草剤事情】  次から次に出てくる水田用一発除草剤。200種類はあるとか。なぜ、こんな に出てくるのか?新型除草剤にはどんな特徴があるのか? ●水田用一発除草剤に関するご意見やご質問を募集します。メールでどうぞ!● ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  メールは ntateki@nifty.com まで  HPは http://member.nifty.ne.jp/TATEKI/PESTIC/KANKYOU.html ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡