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    ○◎●  週刊                   ●◎○
   ○◎●   正しい農薬の知識を身につけるマガジン  ●◎○
  ○◎●          第34号 2002/9/17 発行    ●◎○

  農薬に関する話題を中心に農業や環境問題を考えるメールマガジンです。
  「農薬ネット」http://nouyaku.net/index.htmlと連動しています。
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★★ 第34号の内容 ★★

どうにもこうにも変なニュースが流れてましたので・・・

 【無登録農薬使用農家公表??】

 無登録農薬使用農家の名前を公表して事態を収拾しようという考えです。
そういうやり方をこのメルマガでは強く批判します。

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●無登録農薬使用農家公表 「当然」「気の毒」山形二分●

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020917-00000012-khk-toh
河北新報 2002年09月17日の記事です。長いですが全文引用します。

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 無登録農薬を使用した農家の氏名を公表するべきかどうかで、山形県が揺れて
いる。県内有数の果樹産地である東根市が、消費者の信頼を取り戻そうと「全使
用者」の氏名公表を打ち出した一方で、山形市などは「悪質・非協力的な使用
者」に公表範囲を限定。公平性の面からも県としての公表基準づくりを迫られて
いる。農家の間には「公表された者は村八分にされかねない」との拒否反応もあ
り、難しい決断となるが、県は自治体からのアンケートを集計して今週中にも統
一見解を示す方針だ。

<誓約書の信用崩壊>

 山形県は、出荷時に無登録農薬不使用を誓約する文書の添付を義務付け、「安
全性」の担保としてきた。ところが今月初め、ラ・フランス農家1戸が無登録農
薬を散布したのにもかかわらず、偽って誓約書を提出していたことが判明。誓約
書の信用性が揺らいだことから、氏名公表の議論が一気に熱を帯びた。

 氏名公表の是非を話し合うため、県、市町村と農協の担当者らが11日、緊急
打ち合わせ会議を開いた。県農協中央会は「出荷停止だけでも十分な社会的制裁。
使用者全員の氏名公表を消費者が求めているとも思えない」と主張、公表範囲を
悪質な農家に限るよう一定の基準を示した。

 これに対し、果物産地の東根市は「違法な農薬を散布したことが問題なので、
使用者に悪質も良質もない」と反論。県内ではこれまで56戸の使用農家が判明
しており「悪質とされる数人の氏名を公表したところで消費者は納得しない」と
訴えた。

 会議後の記者会見で高橋和雄知事は、近く統一見解を示すことを約束した。



<使用農家罰則なし>

 氏名公表は、無登録農薬問題の発覚直後から、市場の反発を恐れる流通業者や
自身の潔白を訴える生産者らが強く求めていた。農薬取締法は販売業者を取り締
まるだけで、使用農家への罰則がないため、何らかの「けじめ」が必要との意見
もあった。

 市町村の中で対応が際立つ東根市は、今月下旬、市役所と市内3農協で氏名の
閲覧を始める予定だ。これについて、市内の農家の受け止めは「周りに迷惑を掛
けたのだから罰を受けるのは当然だ」(57歳男性)「いくら何でも気の毒。こ
こでは暮らせなくなる」(62歳女性)と真っ二つに分かれている。

 使用農家の中でも「違法な農薬を散布したのだから」と自業自得を認める声が
ある一方、「匿名と思い、自ら使用を名乗り出たのに裏切られた。さらし首も同
然だ」との反発も強い。



<安全性公表の例も>

 使用者全員に網をかけた東根市に対し、山形、上山両市と中山町は(1)残留
農薬検査を拒否して出荷した(2)使用が明らかなのにもかかわらず出荷した
(3)廃棄処分に応じない―など5項目を設け、該当者を「悪質・非協力的」と
して公表する方針。逆に、検査の結果、安全確認ができた農家を告知する山辺町
のような工夫もある。

 村八分のような動きを恐れ、多くの市町村は氏名公表に踏み切れないでいるの
が実情で、県農政企画課は「情報公開と個人情報保護それぞれの観点から検討し
なくてはならない」と話している。

~~~~~~~~引用終了~~~~~~~~~~

 ・・・・はぁ、氏名なんか公表してどうするの?っていうしかないですね。
今回の事件の本質を全然わかっていないし、そんなことしたって消費者の信頼回
復なんてできるかどうか疑問です。



 無登録使用農家を公表することで逆にそのリストに入ってなかった人を援護し
ようという意図でしょうけど、無登録を使用しなかった農家がそのまま信頼を得
られるかどうかは疑問です。今回たまたま引っかからなかっただけと思われてる
かもしれませんよ。

 また、使用者に対して罰を与えることが無登録使用の抑止効果につながると言
う点もあるのでしょう。それは一理あるかもしれませんが、公表される人間とそ
うされない人間との間に線を引くことなど出来るのかと言いたい。今回たまたま
引っかかった人間以外は問題ないと言い切れるのか?

 それに、ダメなヤツをはっきりさせることで事件の幕引きを狙う、言いかえれ
ばトカゲのしっぽ切りみたいな、あるいは見せしめのようなやり方で再発が防止
できるのかはなはだ疑問です。


 そんなことより優良農家を公表する方が前向きだし、産地全体で話し合って再
発防止策および今回の事件へのお詫びと対策をいちはやく発表する方が良いわけ
であり、責任のなすりつけあいを世間に見せているようでは先は暗いと言わざる
を得ない。

 村社会の理屈丸出しで消費者に不心得者のクビを差し出して土下座することで
事態の収拾を図ろうなんてやり方が古すぎるし、かえって消費者の不信感を増長
するようなもの。きっちり真っ正面から取り組んで、理不尽な要求はきっぱりと
はねつけて、間違いなくやれることを確実に積み上げてそのことをHPやマスコ
ミを通じてアピールしていくこと、消費者と対等な立場で対話していくことが望
まれます。


 とにかく山形県の農家のみなさん。無登録使用農家の公表なんてばかげたこと
はおやめなさい。内輪もめは内輪でやってください。

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●ショートコラム●

 今週号の「女性セブン」に無登録農薬に関する特集記事が出てましたね。中身
はまっとうなもので、取材対象として名前が出てきている人物数も多く、その顔
触れも徳野氏や福田先生や植村氏や澤田氏などそうそうたるものでした。しかし、
対策として家庭で農薬を落とす方法ということで増尾氏の話で締めくくっている
ところが残念な記事でした。科学的根拠もないし無意味な内容です。

 それはともかく、この記事の見出しが「農薬漬け日本列島 国産果物が危な
い」「消費者無視のあきれた使用実態」「生活防衛リポート」等といったものに
なるのでしょうか?とにかくセンセーショナルな見出しをつけたもの勝ちという
アナクロイズムはせっかくの記事に泥を塗るものです。

 残留農薬とか色々言われていますが、結局それらを買ったりするのは女性なわ
けで、女性誌の農薬関連記事は特に重要です。単なる煽り記事はいらないし、不
用なあるいは間違った記事は読者にいらぬストレスを与えています。ストレスは
最大の発ガン因子の一つなので、そういう記事の載っている本や雑誌(この場合
は見出し)こそ「発ガン性物質」です。

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