∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞     ○◎● 隔週刊                   ●◎○    ○◎●   正しい農薬の知識を身につけるマガジン  ●◎○   ○◎●          第26号 2002/7/11 発行   ●◎○   農薬に関する話題を中心に農業や環境問題を考えるメールマガジンです。   「農薬ネット」http://nouyaku.net/index.htmlと連動しています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  主婦や学生でも安心して読めるように極力簡単に説明するようにしています。  メールマガジンに対するご意見はtateki@nouyaku.netまでお気軽にどうぞ。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆◆◆ ベランダプールでおおはしゃぎ ◆◆◆  洸樹くんの子育てられ日記 → http://www2.diary.ne.jp/user/92852/ ◆◆◆ たまには宣伝。メチャおもしろいコラムだよん ◆◆◆  週刊たてきコラム → http://nouyaku.net/tateki/index.html ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ★★ 第26号の内容 ★★  【話題の中国野菜。実際どうなの?】  連日のように危険だ危険だと報道されている中国野菜ですが、実際問題どうな んでしょう? ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  【残留農薬基準を越えるとどうなる?】 ●そもそも残留農薬基準とはなんなのか?これをまずは説明するべきなんですが、 非常に長くなりますし、また難しくなります。これはまたの機会にさせてもらい ます。  決め方はともかくとして、各農作物ごとに色々な種類の農薬について基準が定 められています。日本で流通する作物は日本の基準で管理されます。基準は世界 統一というわけではありません。 ●基準の一例  平成10年度の資料では例えばキャベツに対してはこんな風になっています。   農薬名    残留基準値   BHC    0.2ppm   アセフェート 5.0ppm   ジクロルボス 0.1ppm   ダイアジノン 0.1ppm   ペルメトリン 5.0ppm  などなど80種類程度  80種類以外の農薬については基準値はまだありません。現在策定中です。 ●分析して基準値を超えれば流通販売できません。業者は回収して廃棄しないと いけません。基準値がない農薬が検出された場合は罰則はありません。しかし、 何らかの指導はされると思います。  【農薬はどれぐらい検出されるものなのか?】 ●平成9年のデータによると全て合わせて以下のようになっています。基準値が 設定されているもののみ示します。      検査数  検出数    基準を越えるもの  国産品 121607 746(0.61%) 33(0.03%)  輸入品  52868 671(1.27%) 13(0.02%)  平成8年度は      検査数  検出数    基準を越えるもの  国産品  74639 637(0.65%) 26(0.03%)  輸入品 113825 1508(1.32%) 29(0.03%) ●残留農薬基準を越える例はわずかに0.03%前後しかないことがわかります。 また、国産・輸入による差や年次変動があまりないこともわかります。実は今騒 いではいますが、以前からなにも実態は変わっていないし、悪くなったわけでも ないのです。  【中国産野菜はどうなってるの?】 ●今年の1月に厚生労働省が中国野菜検査強化月間というのをやったそうです。 データ→http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/02/h0213-2.html  これによると、基準オーバー率は0.36%だったそうです。平均より10倍 の違反率なので問題があるともいえますが、特別に高い数値でもないと思います。  最近では冷凍ほうれん草・セロリ・ネギからクロルピリフォスが基準値以上に 検出されたと報道されて騒ぎになっています。実は中国野菜が問題になっている ように見えますが、作物別で見るとその3種類におけるクロルピリフォスの検出 の問題が大部分を占めています。 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/05/h0521-1.html ●なぜクロルピリフォスがよく基準値を超えて問題になるかといえば、クロルピ リフォスのそれら3種の作物に対する基準値が厳しすぎるからです。  クロルピリフォスの葉もの野菜残留基準値(抜粋)   ハクサイ   1.0 ppm   キャベツ   1.0 ppm   レタス    0.1 ppm   アスパラガス 0.5 ppm   インゲン豆  0.2 ppm  =================   セロリ    0.05ppm   ほうれん草・ネギ・しいたけ 0.01ppm  つまり新聞のみだしに出てくる「中国産ほうれん草からクロルピリフォスが基 準値の6倍出た!」というのは0.06ppmですから、他の野菜、例えばキャ ベツやハクサイなら余裕でセーフです。逆に言うと、中国産ほうれん草の基準値 オーバーを心配するよりもハクサイやキャベツを心配した方がいいです。  【なぜ、そんなに基準値が厳しい?】 ●ほうれん草などの基準値が厳しいのは日本国内では使用が認められていないか らです。キャベツやハクサイには使用が認められています。では、なぜ使用が認 められていないかというと、誰も使用許可を求めていないからです。なぜ、使用 を求めないかというと、一つはメーカーが使用許可を得るために必要な投資を回 収するだけの売り上げが期待できないからです。  なぜそうなのかというと、日本の農薬行政(農水省・農薬取締法)が硬直化し ており、許可を受けるまでが大変だからという点が大きいです。つまり、本来許 可すべきものを許可する体制を整えていないツケが今回の中国製野菜の基準値 オーバー問題の発端だと私は思っています。  【このあとどうなる?】 ●現在、今回のような事例で中国産冷凍ほうれん草自体を禁輸できるようにする 議員立法が成立に向けて動いています。しかし、外国からは反発は必至でしょう。 国際的に見ておかしな基準を設定してその基準に合致しないから輸入しませんで は自由貿易とは言えないからです。でも、国民の要望に応えるという旗を振り上 げて法律は成立させるでしょう。結局は中国冷凍ほうれん草をスケープゴードに してまたしても法律や行政の硬直化は隠されてしまうでしょう。馬鹿なことの繰 り返しです。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  以上は日本輸出向けの中国野菜の実状です。中国国内で国内消費向けに流通し ているローカルな野菜にはかなりひどいものもはあるということも事実です。中 国のいなかを旅行した際には地元の市場や露店で農作物を買うのは避けた方がい いでしょう。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  メールは tateki@nouyaku.net まで  HPは http://nouyaku.net/index.html  配信数は 1856部です。  無断転載はお断りいたします。メールくだされば許可します。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡